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鐵地象嵌花器 原智さん 伝統工芸展列品解説

 一昨年開催した「変貌(へんぼう)する金属」展で紹介した原が日本工芸会総裁賞を受賞され、我がことのようにうれしい。横浜市生まれの原は東京芸術大で金属工芸を学び、大型の屋外彫刻などを手がけていたが、40歳を機に金沢に移住。生活の中に工芸が身近にある地で後進の指導にあたりつつ、制作に励む。
 受賞作は扁平(へんぺい)した丸い鉄地の器に、チョウの鱗粉(りんぷん)から着想したという銀の細かい幾何学的文様が上から下に展開する。象嵌(ぞうがん)には金沢で出会い、ほとんど独学で修得。鍛金で鉄板を成形し緻密(ちみつ)な象嵌を施すことは、熟練の技術と根気、経験に基づく計画性が必要と語る。銀線の上にさらに自ら考案した半球状の凹象嵌を千個以上もちりばめ、扇状の布目象嵌とともにミラーボールのようにきらめかせた。たゆまぬ創意工夫が導いた栄光である。(県立美術館学芸課長・福冨幸)

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岡山:朝日新聞デジタル 2024-11-25 [Edit / 編集]

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