20歳で殺された娘、容疑者の少年は自殺した 18年経った母の思い
「ただいま」。18年が経った今でも、そんな風に娘が帰ってくる気がする――。2006年に山口県内で起きた殺人事件で娘を亡くし、現在は犯罪被害者の支援に携わる中谷加代子さん(64)=同県防府市=の講演が11月、岡山市内であった。なぜ娘は殺されなければならなかったのか。悲しみの中でたどり着いた思いを、癒えない遺族の心情を交えて語った。
中谷さんの長女歩さん(当時20)は、山口県内の高等専門学校の5年生だった06年8月、校内で同級生の少年(当時19)に首を絞められ殺害された。
中谷さんは事件当日、歩さんが亡くなった一報を聞いても信じられなかった。対面した遺体に何度も「早く起きて」と呼びかけた。目を覚まさない歩さんのほおを、ただただ触れていた。
歩さんの夢は建築士になることだった。家族思いで優しく、サプライズでクリスマスプレゼントを贈ってくれたこともあった。「あの日の朝、元気に出かけて行ったのに二度と帰ってきませんでした」
訪ねてきた少年の両親 やつれきった姿を見た時に 少年は事件後に逃走。10日後、山口県内の山中で遺体で発見された。自殺だった。少年の口から真相を聞きたい、正面から罪に向き合ってほしいという望みは、かなうことなく消えた。
中谷さんは罪悪感や後悔に襲われた。受験の時に歩さんに高専を勧めてしまったこと、親である自分が生きていることへの嫌悪。大切な家族を突然奪われ「しばらく人の顔を見たり、話をしたりできなかった」。
事件から1年以上が過ぎたこ…
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岡山:朝日新聞デジタル 2024-11-24 [
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