85歳で世界記録 半世紀ぶりに競技再開、マスターズ陸上に出場
85歳で走り幅跳びの世界記録を樹立し、その経験を著書にまとめた斎藤衛さん=前橋市で、2024年12月23日午後5時1分、庄司哲也撮影
前橋市の京都大名誉教授、斎藤衛さん(88)がマスターズ陸上競技に初出場したのは、80歳の時だった。85歳で男子走り幅跳びM85(85~89歳)クラスの世界新記録(3メートル83)を樹立した。学生時代は陸上選手だったものの、競技の再開は半世紀ぶり。「加齢による運動能力の低下は不可避だが、低下の幅を抑えることで、誰もが世界記録を目指すことができる」と語る。【庄司哲也】
競技再開のきっかけは78歳の時、3カ月間で約10キロの減量に成功したこと。それまで膝の痛みを抱え、手すりのない階段は昇り降りさえできなかった。だが、食事の管理によって体が軽くなり、痛みも消えたと気づいた。
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足に少しずつ筋力をつけていった。3日に1回、筋肉に負荷をかけ、2日間休養する。トレーニングで筋肉は一度は壊れるが、休むことで回復し強くなるという考えを取り入れた。「筋肉の痛みで貼り薬をあちこちに貼りつけながらだった」。陸上選手だった学生時代のように走れる体を取り戻したという。
陸上競技との出合いは小学生の頃、ドイツ・ナチス政権下で開催された1936年ベルリン・オリンピックの公式記録映画「オリンピア」(レニ・リーフェンシュタール監督)を見たこと。同大会で男子100メートル、走り幅跳びなど4冠に輝いた米国のジェシー・オーエンス選手の躍動する筋肉美にあこがれ、畑でオーエンス選手を真似て跳び始めた。
群馬 | 毎日新聞 2025-01-05 [
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